アンビエント論と上質な朝を作り出す低刺激アルバム10選

この記事ではアンビエントに対する私の基本理解と、それに基づくおすすめアルバム10枚を紹介します。

アンビエントとは

語源

Ambientは「環境の」を意味する英語だ。音楽においては「環境音楽」と訳されることが多い。

ラテン語のambientemを語源とし、16世紀末にはすでにambientという言葉は「包囲する」という意味で使われていたらしい。

英語でambientと近い意味を持つ言葉としてはatomosphere(大気)、climate(風土や雰囲気)、medium(生活環境や条件)、surroundings(周囲)などがあるようだ。

このように言語的、あるいは文学的コンテクストにおいてアンビエントという用語が使われるということはあったのかもしれないが、それが音楽において明確に示されたのは新しい歴史だ。そのことについて軽く触れておこう。

ブライアン・イーノによる提唱

音楽における「アンビエント」という概念は、音楽家ブライアン・イーノによる1978年のアルバム『Ambient 1/Music for Airports』(以下『Music for Airports』)によって初めて提唱された。

このアルバムは、アンビエントにおける金字塔として誰もが認める作品であり、原点である。「空港の空気を浄化し人を落ち着かせ、考える空間を作り出す」というコンセプトは、イーノが西ドイツのケルン・ボン空港を訪れた際に生まれた。

コンセプトに従い、イーノは次のような条件を語っている。

・中断可能であること(空港にはアナウンスがあるため)

・人の会話の周波数とはずれていること

・会話のパターンのスピードとは異なること

・空港という空間におけるノイズと共存可能であること

・死に備えるような音楽であること

ここまで見ただけでも、普段我々のイメージする音楽観とは全く異なることがわかるだろう(最後の「死に備えるような音楽」というのは未だよくわからないが・・・笑)。

音楽を含む芸術作品や表現には、何かしら主張が伴うというイメージが前提としてあるように思う。例えば美術館に行き作品の前に立った時、すぐに私たちはその持つ意味を探してしまいがちだ。

しかし、イーノの提唱したアンビエントとは主張の存在しない音楽、言い換えれば「空間に馴染み、人間の活動の邪魔をしない音楽」と言える。メッセージ性を持つ表現ではなく、環境に馴染むことを主眼としてその主張を排除しきったのだ。

部屋にいるときに『Music for Airports』をかけると、「音楽を聴いている」というよりは「上質な空間にいる」という感覚になる。生活音と調和した音楽は意識の上から消え去り、考え事をすること、本を読むこと、そして人と対話をすることなどに集中できる。それは緊張とは違う、感情的にバランスの取れた極めてニュートラルな状態だ。

しかし、例えば本を閉じた時、自然に会話が止まった時などにはさりげなく意識の上に現れ、確かに音楽によって居心地のよい空間が作り出されていることが分かる。

上質な時間をゆっくりと過ごす感覚、そしてそれらをいつやめてもいいという気軽さのようなもの。むしろ曲を止めた後の生活時間に向かうためのニュートラルな感情、聞き終わった後に良い一日を過ごせることを目指し、その準備の時間を作りだすために音楽があったのだとすら思えるのだ。

家具の音楽

多くの音楽がリスニングを前提に作られている中、空間に馴染むことに主眼をおいて作られたという点が斬新であったわけだが、そのコンセプトはブライアン・イーノによって初めて考案されたわけではない。彼自身も影響を受けた作品を挙げている。

それがフランスの作曲家エリック・サティによる1920年の作品『家具の音楽』だ。

これについては私もよく理解できていないので深く語ることはできないが、あくまでアンビエントのコンテクストにおいて20世紀の前半に同様のコンセプトが提唱されていた事実を強調したい。

無音の先へ

現代音楽において、とりわけ異質なものとしてジョン・ケージによる「4分33秒」が挙げられるだろう。いわゆる「無音の音楽」だ。

すべてが休符というこの曲。常に新たな表現が探求されていく芸術の分野においてカバーやアレンジの余地すらなく、作曲した段階で完成されてしまった作品であることが衝撃的だったらしい。

それは音楽というよりは新たな概念の提唱だ。

この作品とメッセージに対して我々は葛藤、あるいは否定して議論・主張を生むだろうが、それこそがジョン・ケージ生み出そうとしたものであり、問題提起であったと解釈している。従来の音楽・表現を以てこれに対抗しようにも、そもそも評価する軸・次元が違いすぎて比較不能だったと言えるだろう。

それは「完成された音楽があるのだから、これ以上の表現はあり得ない」という、ある種の閉塞感をもたらしてしまったのかもしれない。

このように複雑を極めた現代音楽に対して、ジョン・ケージは「無音」という最も単純な音楽を以て疑問を投げかけたわけだが、その問いに対して新たな次元を指し示したのがブライアン・イーノだったと思う。

「無音」を音楽と称した場合、その無音であることが意識され、さらには空間に存在する生活音や自然音もまた意識される。それに対しアンビエントは、間違いなく音が鳴っている「音楽作品」であるのに「音楽」としては意識されない。

「無音」の環境は人々に思考を促す機能を持つと考えるが、アンビエントは生活音・自然音とも共存し、一つの環境を構築することでより内省的思考へと向かわせる。

さらには「無音の音楽」にはジョン・ケージのその他の作品と同じように東洋思想(自然観)からの影響も感じさられるが、アンビエントはそれに対する新たな自然観を提唱したとも言えるだろう。

例えば部屋にいる時、窓を開け放って鳥の囀り、風の音などを聞きながら本を読んでいたとする。それはそれで素晴らしい環境と言えるが、そこに『Music for Airports』を加えると、空間の質が一つ上の次元へと上がる。自然音とも共存した極めてストレスフリーな環境がそこに出現するのだ。また『Music for Airports』の流れる空間で会話をしているときに、試しに曲を止めてみよう。すると、それまでに感じられていた空間的調和が瓦解してしまうのが分かるはずだ。

このようにただ自然に感じられる環境よりも、むしろ『Music for Airports』のある空間の方が明らかに人間にとって調和の取れた環境だ。言うなれば「自然よりも自然」な感じがするのである。

加えて、「無音の音楽」はハイコンテクストな表現であり、その理解なしには価値を見出すことはできない。これに対し『Music for Airpots』はコンテクストを理解せずともBGMとして全く問題なく使えてしまうということも優れた点であるように思う。

「自然よりも自然」という新たな自然観を以て「無音」の先を指し示し、調和のとれた空間を作りだすことで人々に内省的な時間をもたらしたこと。極めて高次元な音楽であり、間違いなく歴史に刻まれる作品となることだろう。

使用法、小さい音でながすこと

『Music for Airports』について、ブライアン・イーノはその使用法についても言及している。

いわく「できるだけ小さい音か、聞こえるか聞こえないかくらいの音量でかけることをすすめる」とのことだ。

繰り返すがアンビエントの概念の主眼は空間の調和であり、そこにおいて音楽は背景としての役割に徹することとなる。ゆえにイニシアティブをとることはなく、バランスを崩してしまう大きい音量で聴くということはありえない。環境の一部として適切な音量で流す必要があるので、シチュエーションに合わせて音量を探る工夫してみると面白いかもしれない。

使用するシチュエーションとしては、特に朝の時間帯における作業時にお勧めしたい。朝一番にデスクに向かうとき、なぜか分からないが心がささくれだっていて、説明のできない不快感を覚えるときがないだろうか。そこに『Music for Airports』をかけると即座にネガティブな感情が浄化され、ニュートラルな精神状態で作業に向かうことができる。

あらゆる状況において使える万能なものとは言えないだろうが、それでもかなり多様なシチュエーションにおいて使える実感がある。これをお読みの方で「こんな時に使ったらめちゃくちゃよかった!」という実例があったら、是非教えていただきたい。

低刺激アルバム10選

以降は、ここまで述べたアンビエント感に基づき、オススメのアルバムを紹介します。一口にアンビエントと言っても、その提唱からすでに30年以上が経っていて、多様なサブジャンルが生まれています。なので、アルバムを紹介するにあたり何か基準が必要だと考えました。

そこで最適だと感じたのが「朝という時間」です。アンビエントの主眼は空間的な調和であり、その実用を考えるならば低刺激であるとこは必要な条件となるでしょう。人によるでしょうが、特に起き抜けの朝は脳が活発に動く前で、低刺激のものが好まれるように思います。

以上のような考えから、「上質な朝を作りだす」ということをコンセプトに、10枚のアルバムをセレクトしました。

1.Briano Eno 「LUX」

ブライアン・イーノの作品の中で、『Ambient1/ Music for Airports』を除けばこのアルバムが最もアンビエントのコンセプトを体現しているように思える。

彼の作品群に「Ambient」という名前を冠した作品は4つある。あくまでそのアンビエントの最初のコンセプトに注目すると、「Ambient2」以降の作品は「Ambient1」ほどの空間的調和を生み出すニュートラルさを体現できているとはいえない。曲数が多く一曲が短いが故に展開が急に感じられてしまったり、あるいはダークな雰囲気に少しの恐怖を覚えるようなこともあったりする。

その中にあって、『LUX』は「Ambient」を冠してはいないが、収録された4曲すべてが19分前後という長さで展開の緩やかさもありつつ、「Ambient1」と比すれば少しポジティブサイドに寄った感じもするがかなりニュートラルに近い雰囲気がある。

朝という低刺激なものが好まれやすい時間のお供としてはまずこれをお勧めしたい。やはりこれも小さめの音量でかけるのが良い。

『Music for Airports』と使い分けるのも良いだろう。

2.横田進「Sakura」

日本人テクノ/アンビエント系アーティスト、横田進による作品。横田は1992年にドイツのレーベルからのシングルリリースでデビューした。テクノ系アーティストとして、日本より海外での評価が高いアーティストだった。

1999年リリースの『Sakura』は英メディアからは「ブライアン・イーノの再来」と絶賛された。単曲ではビートに激しさを覚えるものもあるが、通して聞くとアルバムの展開が自然でその激しさにも違和感がない。

楽曲には感情的な表現を感じさせるものが多くある。喜び、愛情、興奮、幸せ、落胆、諦め、哀しさ・・・ それらの様々な感情がアンビエントな音像の中にパッケージされているような印象だ。

主張の排除というイーノによるコンセプトからはずれるが、感情や感覚の変化を含みかつ自然で背景的な役割は我々の人生にも豊かさをもたらしてくれると思う。

前述のようにアップテンポな曲もあるが、一曲目から通して聞くことで朝の時間にもマッチさせることができるはずだ。

3.坂本龍一 「out of noise」

日本が世界に誇る音楽家・坂本龍一によるサウンドスケープ系アルバム。

ピアノを弾いている姿からはまるで想像できないだろうが、坂本教授は実験音楽の分野でも幅広い活動をしている。ノイズ系アーティスト(Fennesz)とのコラボレーション、美術展示に寄せた建物を楽器として使用したライヴパフォーマンスなど、およそ常人には理解不能なものもある。それらの影響かは分からないが、近年のソロ作品ではアヴァンギャルドな傾向が目立つ。

『out of noise』に寄せて、國崎晋氏(サウンド&レコーディング・マガジン編集長)は次のように書いている。

=========

耳を傾けてみて分かるのが、これは“響き”を重視したアルバムだということ。もちろん、自身が奏でるピアノの響きがベースになっているのだが、その上に実にさまざまな要素が付加されている。中でも注目してほしいのは、昨年10月に訪れたという北極圏で採取した音。ハンディ・レコーダーや水中マイクを駆使して録られた“氷河の下を流れる水の音”、“そりを引く犬の鳴き声”、さらには“氷の洞穴で鳴らしたベルの音”など、冷たい空気をそのまま写しとったようなトーンだ。そんなトーンを背景に、ゲスト参加の小山田圭吾(コーネリアス)のギターなどが巧みにミックスされ、全体としては複雑な織物のようなサウンドが広がっていく。

=========

自然音、生活音、そして音楽の境界を溶かしていくような作用は、ブライアン・イーノが提唱したアンビエント感と近いものを強く感じる。

聴き込むには難解でハードルの高さを感じるかもしれないが、アンビエントなBGMとしては非常に使いやすいアルバムだ。

余談になるが、教授が癌から回復してから初めてリリースしたソロアルバム『async』(2017)は手術と称した宇宙人による脳の改造があったのではないかと思うほどの名盤だ。複雑で難解な作品だが、是非こちらも合わせて聴いてみてほしい。

4.Julianna Barwick「 Healing Is A Miracle」

今回紹介するアルバムのほとんどがインストゥルメンタル作品だが、『Healing Is A Miracle』は人の声を作品の中心に据えている。

ele-kingのインタビュー記事の導入に、「童謡をドローン化したようなアンビエント・ポップス」と書かれていた。非常に的確な表現だと思う。

http://www.ele-king.net/interviews/007699/

コーラスに加え、パイプオルガンにも似たシンセサイザーのサウンドからは教会音楽のようなエッセンスも感じられる。それらに施された空間的音響処理は音の輪郭を奪い、音の海に浸りきって桃源郷にたどり着いたかのような錯覚と心の平穏をもたらす。

人の声には意識が向かいやすいので特にアンビエント作品ではインストゥルメンタルが多いが、『Healing Is A Miracle』はその残響感からか作業をしている時にも意識が向かず、目の前のことに集中できる。

アンビエントにおいては稀有な作品なのかもしれない。

5.Ishq「Sunflower」

UKアンビエントマスターIshqによる、瞑想系アルバム。

Ishq以外にも、Ishvaraなどの他名義でも多くの作品を出しており、全ての作品を聞き切れていないというのが正直なところだ(笑)

彼の作品はスピリチュアルな世界観を感じるものが多い。作品としては素晴らしくとも、異界に連れていかれるかのようなその音像は時にダークな雰囲気を醸し出し、恐怖を感じる場合もあるかもしれない。

その中でも『Sunflower』は超自然的な神秘性を感じさせつつも緩やかに陶酔できるようなチルさが際立ち、作業時のBGMとしても十分活用できる。

流しながら本を読んだりしてゆったり過ごすのもいいが、休日の朝に窓を全開にして外の空気や音を部屋に取り込みつつ、畳の上に横になりぼーっと過ごすというスタイルもおすすめだ。

都市生活では難しいだろうが、田舎の古民家に泊まった時などに試してみて欲しい。

6.Khotin – Beatiful You

ベッドから起き上がる時にかかっていてほしい音楽第一位。

Khotinはカナダの出身の、いわゆるLo-Fi チルアウトと呼ばれるジャンルに属するアーティストだ。日本ではNujabesがこのジャンルの先駆けとして有名で、これ以外にもゆるい雰囲気のヒップホップのイメージが強い。

基本的にLo-Fi チルアウトはディープでLAZYな雰囲気を纏い、朝よりは午後や夜の時間帯に合うものが多いように思う。

しかしKhotinの作品はそのような気だるさよりは、むしろ徐々に脳が覚醒していくプロセスを助けるような働きがある。

2曲目「Water Soaked in Forever」では特にそれが顕著だ。起き抜けに囀る鳥、窓から差し込んでくる朝の大使などを彷彿とさせるドリーミィなサウンドは夢と現実の狭間を漂っているかのような感覚をもたらす。そして聞き終わった後には心を日常の生活時間へと違和感なく移行させてくれる。

素晴らしい作品だ。

7.Aphex Twin「Selected Ambient Works 85-92」

多彩な音楽性で知られるイギリスのDJ/コンポーザーのAphex Twinだが、アンビエントの分野でも名盤を世に送り出している。

『Selected Ambient Works 85-92』は、アンビエントの名盤を調べると必ず出てくるアルバムだ。ここまで紹介してきた作品はどれも自然を感じさせる音や楽器の音などに空間的処理を施したもので、基本的に明確なビートを含むものは多くない。

しかし本作では、ほぼ全編にわたってダンスミュージックを基調としたビートが楽曲をリードしている。ビートの上で展開していく極力ミニマルな電子音と空間的な広がりは素晴らしいバランスを見せ、優しさすら覚えるその音像からこれをアンビエントと呼ぶのも納得してしまう。

ヒーリングミュージックのようなアンビエント感からはかけ離れているが、新たなアンビエント像を指し示した名盤と言えるだろう。

8.Steve Hauschildt「Dissolvi」

USアンダーグラウンド最重要バンドと称され、惜しまれつつ解散したエメラルズの元シンセサイザー奏者、Steve Hauschildtによるソロ作品。ジャンルとしてはアンビエントテクノになるだろう。

こちらもビートとその上で展開する電子音によって楽曲が構成されており、前項の『Selected Ambient Works 85-92』のアンビエント感を引き継いだようにも感じられるが、その雰囲気は大きく異なる。

『Selected Ambient Works 85-92』がポジティブネスを感じるダンスミュージックを起点とするならば、『Dissolvi』はテクノを基調とした幻想的なサウンドで内省的な精神状態を生む。しっかりテクノなのにアッパーなところが全くなく、心が落ち着く方向に働くというのが不思議だ。

日が出てからでも十分いいが、早く目が覚めてしまった夜明け前、あるいは目が冴えてしまった深夜に考え事をするといった、内省的なシチュエーションに抜群に合う作品である。

9.Telefon Tel Aviv「Fahrenheit Fair Enough」

UKエレクトロニカの金字塔と言われるアルバム。

曲のエレメントを見ていけばバッチバチのエレクトロなのだが、それが刺激を持たず耳が痛いということが全い。

個人的には気持ち大きめの音で流すとめちゃめちゃ集中できる、オールタイムで使える作業用BGMだが、朝の時間に小さい音量で流しながら読書するのにもいい。

ガチリスニングにもBGMにも、でかい音でも小さい音でもいけてしまうというハイブリッドな名盤。

一般のアンビエントのイメージからはずれるかもしれないが、空間に溶け込み人間の作業や活動のクオリティを上げるというコンセプトからすると、それを素晴らしく体現している作品ということで今回選出した。

10.Official Nature Sound Effetcs「55 Premium Nature Sounds」

最後に、自然音のアルバムも紹介しておきたい。

いわゆるリラクゼーションに特化したような自然音のアルバムは多くあるが、正直それらを聞くのは辛いことが多い。明らかに大きすぎる鳥の鳴き声や川のせせらぎがうるさくバランスを欠いたものがほとんどで、まともに聞いていられないのだ。

そのような中にあって、このアルバムはとてもバランスがいい。特筆すべきことはないがそれだけに使いやすい。

アンビエントのコンセプトを理解した上でこれらの自然音系のアルバムをきけば、空間に溶け込むニュートラルな音を作るということがどれだけ難しいことかわかるだろう。

ちなみに寝るときに流すのもいい。

まとめ

アンビエントの先

『Music for Airports』を用いて生活時間を過ごすと、その環境に溶け込む完璧さに感動し、アンビエントはその概念が提唱された最初の作品を以て完成を見てしまったのではないかと感じてしまう。それと同時に、次のような疑問も湧いてくる。

「アンビエントの先はあるのか?」

ジョン・ケージによる「無音の音楽」の作曲が1952年、ブライアン・イーノによるアンビエントの提唱が1978年。

このあまりにも早い進化のスピードを見るに、そう遠くない未来に次なる音楽の概念が生まれてもおかしくはないだろう。先に紹介した作品のように、イーノの提唱したアンビエントという音楽はすでに様々な形態が模索されている。

これからどのような進化を遂げるのか全く想像が及ばないが、期待を抱かずにはいられない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です